古仁屋という街
奄美大島は南、古仁屋という街に3泊した。
奄美空港からバスを乗り換え2時間ほどのところに古仁屋がある。
奄美の夜は何もない、ただひたすら黒が続く。
海は真っ黒な石油のようで、ぜんぶ消してしまう黒さ。
山が連なる奄美にはトンネルが多い。
長い長いトンネルを抜けると、ぽつぽつと灯りがみえる。
そう、そこが古仁屋。
川端康成の『雪国』、
「トンネルを抜けるとそこは雪国であった。」の感覚がぴったりくる。
「トンネルを抜けるとそこは古仁屋であった。」
灯りがみえたときの安心感といったらもう。
『雪国』ならぬ、『南国』。
この街の人は本当に温かい。
歩いていれば子供は挨拶をし、
カラオケ店経営のハイカラおばさんは郷土餅をくれ、
回送バスのおじさんは見知らぬ私たちを乗せてくれた。
「海と山が全部、忘れさせてくれるんだね。」と友人は言ったけど、
本当にそう。
深い深い底が見える透明な海で、釣れない釣りをしてればどうでもよくなる。
ありがとう、古仁屋。
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